インフォメーションで貰ったしょぼい地図を片手に無防備なまま、何の知識もないままアラスカの大地へ飛び出した。
この地図は無料で貰ったマップだから大きい町しか載ってないんだろう。と勝手に思って。
ところが、とんだ買い被りだった。走れども走れども小さな町はおろかガソリンスタンドのひとつもなかった。永遠に続くかのような森。森。そして森。アラスカの森は広くそして深い。同じところをぐるぐると回っているんじゃないかと思うほど景色は変わらない。
そんなアラスカでうれしい出会いがあった。
河原でテントを張り、一息つくと荷物をつけたサイクリストが入ってきた。
その人はなんと日本人で、いでたち、自転車、装備から出来る人オーラを放っていた。聞くと3年半世界を回り、5ヶ月間日本に戻り再びアラスカから南米まで走るという。すげぇ。
だけど名前を聞いてめちゃめちゃ驚いた。
「伊東 心」と申します。
え?え?えーーーーーー!
一瞬テンパッて訳がわからなかった。なぜこんなところに?
心さんとは僕の元勤務先のサイクルベースあさひに、自転車世界一周のコラムを載せている人で、出発前に僕が最も参考にした人だった。まさかこんなところで会えるとは。
そこからはすべてを盗むように観察した。自転車、装備、パッキング方法、食べているもの、ルート。
そこには4年間のノウハウがぎっしりつまっていて、大変勉強になった。白夜で日が暮れないので
ここゆくまで話し込んみ、フェアバンクスまで一緒に走ることになった。
これがこの旅最初の出会いだった。