カヌーイスト達の憧れの地。ユーコンリバー。
僕もその存在は知っていた。だけど一人旅だし、カヌーに乗ったことないし、下れないだろうと思っていた。
だけど、ここでも旅の神様が味方した。心さんと、井戸裕さん(フェアバンクスで会った、同じく世界一周の目標を掲げる日本人サイクリスト。)がそのユーコン河下りを計画しており、それに便乗させてもらうことになり、河下りの基地となるホワイトホースという町で合流した。
実際ユーコン河下りは素晴らしいものだった。
街から離れると、人工的な音は一切しなくなる。完全なる静寂。
自然とはここまで静かで、ここまで大きな音を発するのかと、改めて驚く。
水が流れる音、魚が跳ねる音、風がざわめく音、石が転がる音、鳥が羽ばたく音。
普段は喧騒に紛れてしまう、自然の音がここではドキッとするくらい大きく感じるのだ。
完全なるフロンティアの自然。木の葉の様に流されるカヌーに揺られていると、まるで自然にとろけて、溶け込んでしまうかの様だった。
が!!
実際には毎日そうやっては過ごせなかった。
50キロの長さを誇る湖で強風に捕まり、4日間も足止めを食らった。
ザバーン!ザバーン!白波立ちまくり
もはや湖ではなく完全に海だった
食料も燃料も4日分の予備なんて持ってきてない。食料を切り詰め、焚き火の炎で米を炊く。
それでも食料は無かったが、ビールは大量に持ってきた。
状況的には切迫していたが、3人で居るとそんなことも忘れ、毎日焚き火を囲んでの宴会だった。
5日目の朝。まだ依然白波はたっていたが、ちょっと弱い。・・・気がする。
躊躇してらんない。出発だ!!
今にも船の中に入りそうな波の中を、ついにこのレイクラバージを抜けた。
いよっしゃー抜けたー
3人狂喜乱舞。本当に本当に嬉しかった。
それからは遅れを取り戻す為に漕ぎまくった。
優雅な河下りではなく、大量の荷物を積んだカヌーは、木の葉から一変、アジアのメコン河あたりにありそうな
荷物運搬船と化し、必死に荷物を運んだ。
結局2日遅れを取り返し、2日延長という形になり、捜索願一歩手前で無事生還を果たした。