終わらない。一体いつまで続くんだこの坂道。
もうかれこれ50キロは上っている。最近ずっと平地だったのに、何故今に限って・・・
呼吸荒れる。足重たい。体の節々痛い。
19日間のぐうたら生活のお陰で、僕の体は完全に鈍っていた。
ちょっとビール飲みすぎたか?それとも動きもしないのに肉ばっか食いまくってせいだろうか?現在レーサーパンツの上にお腹の肉がプルッとはみ出てきちゃっている。
今までの不摂生をあざ笑うかのように、
坂道は終わらない。終わらない。終わらない。
ようやく見えたSUMMITの看板は本当に嬉しかった。
「やったー!頂上だー」井戸さんと共に嬉しさ爆発。「いやー。長かったっすね。」
標高7477FT=約2280m。ソルトレイクが1300mだから一気に1000mアップ。60キロ近い坂道だった。峠は特に何もない原野だったけど、格別に見えた。
ノンブレーキで勢い良く下り始めると、一瞬チラッと異様な光景が目に入り、慌てて急ブレーキ。
驚いた。20Mはある垂直落下する凍った滝人間が張り付き登っている。
初めて見た。アイスクライミングだ。
自転車で世界一周なんて言ってる僕が言うのもなんだけど、思わず問い詰めたくなる
え?え?え?何で?何で?何でわざわざ?
だけど、その姿に思わず見惚れる。そんでなんとなく思う。自転車と一緒で自分で登った滝の頂上から見る景色は、同じ景色でもきっと全く違う景色に見えるんだろうなぁ。
ちょっと幸せな気持ちで、再び自転車にまたがり坂道をゆっくり下っていった。