教えてもっらった住所にそれぽい建物が見えてきた。
近づいてみると、やはり学校だった。
想像してたよりもずっと、立派だ。しかもハイスクール。てっきりジュュニアスクールかと思ってた。
緊張してきた。だけどここまで来て引き下がれん。
高校初潜入。よくテレビドラマである様なはちゃめちゃな感じはしない。生徒や先生は沢山いたが、落ち着いていて大学のキャンパスの様だった。
近くにいた男性を捕まえ、レアリさんの居場所を尋ねた。すると「レアリさんは今宿舎に戻ってるよ」一緒に外にでて「ほら、あの階段を上がった左手の一番最初の部屋が彼の家さ」
礼をいい、そこへ向かった。確かに彼はそう言った。だけど表札もない同じような部屋が並んでいる前に立つと、合っているのか不安になってくる。
いざ トントン! エクスキューズミー!!
・・・
あれ?居ないんじゃねーの?
不安になった時、中から物音が聞こえ満面の笑みで、レアリさんが迎え入れてくれた。
想像していた男性像よりちょっと太めだけど、欧米系でも、アジア系でもない。まさしくネイティブアメリカン。インディアンの顔つきだった。人の良さが顔から滲み出ている。がっちりと太い事で、さらにそう見える。
「よく来たね。大変だったろ」
家の中でしばらく話してから、「じゃホーガンへ行こうか」と僕らを案内してくれた。
ナバホ族伝統家屋、ホーガンは学校のすぐ脇にあった。
心さんに写真を見せてもらい、土壁であるということは知っていたけど、中に入って驚いた。
てっきり中も土壁だと思っていたら、以外にも木がみっちり組まれていた。
そしてなにより
広い・・・。
こんな広いのに天井を支える柱は一本もない。理屈はわかる。でもすごいバランスだ。
中央にはストーブがあり、石炭をくべると、一個で一晩中暖かいのだという。さらに天井には1メートル四方の天窓が開いており、夏場は開け放つと大変涼しいのだという。夏場暑く、冬寒いこの地方ならではの伝統家屋ということだ。
もちろん今はナバホの人たちは、ホーガンには住んでいない。でもその伝統を大切にしているのはよくわかる。
こんなところに泊まれるなんて、本当旅人冥利に尽きる。どんなホテルよりも素晴らしかった。
隣には、違う形のホーガンが2つ。夏に使う用。儀式の時にサウナとして使う用。
その他ナバホの伝統を僕らにもわかりやすく説明してくれた。ナバホの伝統を語るレアリさんはどこか誇らしい。いいなぁそういうの。
授業でも使われるだろうこのホーガン。それを気持ちよく貸してくれレアリさんと学校に大感謝。日本だったら、絶対有り得ない。
トイレ、シャワーも自由に使っていいし、図書館のネット使用OK!。さらに薪と斧を持ってきてくれ、本当に気を使ってくれた。毎回毎回この親切には頭が下がる。
レアリさんは僕らの予定を聞き「じゃ明後日、山に石炭を掘りに行こう!」と
へ!?ただでさえ初めて使う石炭ストーブに驚いてるのに
なにこれ。掘っちゃうの?・・・
僕が見た夕張での石炭の博物館では、その過酷さを刻々と紹介してたのに、なんて軽いノリで誘うんだろう。
もちろん二つ返事で了承した。めっちゃ面白そう。
メール、電話は僕にとってはしんどい事だった。だけど、やっぱりその先に待っていたのは、とても素晴らしい出会いだった。
夜氷点下まで下がるこの地域。ホーガンの中はビックリするくらい暖かかった。
室内の明かりを消すと天窓から月明かりがもれ、ストーブの炎が夜のホーガン内を怪しく揺らめく。
パチパチとやさしくはじける炎。なんて素敵な夜なんだ。