十二月六日 十九時00分
我、グランドキャニオン山中ニテ吹雪ニ遭遇ス。
風速オヨソ30m也。走行困難。テント原型ヲ保ツ事困難。吹雪ニヨリ、視界極メテ悪シ。
爆音轟ク。人家ノナイ山奥也。状況悪シ。連絡コウ。
・・・太平洋戦争で英語は日本軍に解読されないように、ナバホ語に暗号として訳され送られていたそうです。
吹雪が来ていることは、街で聞いていたけど、グランドキャニオンに向けて登ってきた。
それまでは、強風だったものの雨だったのでなんとかなるだろうと
夕方近くに、グランドキャニオン手前のミニグランドキャニオンというポイントに着いたときには、かなりの強風が吹き荒れ、たった一軒やっていた土産物屋の兄ちゃんの許可を貰って、吹きさらしだが屋根があるという所にテントを張らしてもらった。
飯を食べ、日記を書いて床に就いたのが7時過ぎ(冬の野宿だと夜寝るしかない)
そこからが酷かった。風は荒れ狂い、中で寝ているにも関わらずテントごと吹き飛ばされそうな揺れ方をする。
もちろんテントのロープも、ペグも強風対策で全て使って万全を期した。だがこの有様。
風でテントの中が圧縮されている。今にもポールが折れそうだ。まるで台風の日に防波堤の先っちょでキャンプしてるみたいだ。
轟音と共に、ビタビタビタ~とみぞれ雪がテントを叩きつける。
めちゃめちゃ怖ぇ。早く夜が明けろ~と時計を確認すると、まだ22時。絶望な気分になる。
試しにチラッと外を覗いてみる。
・・・どこここ?
一面真っ白なんてかわいいもんじゃない。白いうねりが、ぶぁーっと押し寄せる。夕方見ていた場所はそこにはなかった。
いつまで続くんだこれ・・・・
不安をよそに、一晩中荒れ狂っていた