専業主夫的 家族経営

~家族を経営するという考え方~

2009年 味わった絶望。そして・・・

今日僕の体は、宙を舞った。

状況を飲み込めなかった。撥ねられたのではない。突然前輪がロックしたのだ。それはわかる。

でも見通しの良い直線道路。溝にはまったのでも、急ブレーキももちろんしていない。

体・・・
後から痛み出すのだろうが、危険な痛みは感じられない。ほっとしたら我に返った。

自転車は!?

 

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むざんに曲がってしまった自転車を見て呆然と立ちすくんで、涙が出そうになった。フォークが明らかに致命傷を負っている。

「ちょっと待って。嘘でしょ?嫌だよ。まじで」

恋人の死を目の前に、現実を受け入れられないドラマの主人公のような台詞を繰り返し呟く。

 

現実を直視できないまま荷物を全て外し、クシャクシャになった泥除けを外し、曲がったフォークで自走可能かどうかすぐチェックした。

ガッ!

無常な音が響く。前輪がフレームに当たる
つまり・・・

 

自走不可能。

 

この時どうにもならない現実を前に、旅の終了がリアルにちらついた。
ビザは残り3週間。アルバカーキまで戻って、注文入れてスムーズに直ったとしても、きっと国境までは時間内に辿り着けない。
日本に帰るしかない・・・

 

 

 


もう終わりだ・・・。なにもかも

 

 

 

 


でも次の瞬間、日本にいる家族、友人、応援してくれている全ての人の顔が頭をよぎった。
ドラマチックに書こうとしているのではない。本当の話だ。

 

 


諦める・・・?

  

 

 

じょっ、

冗談じゃね~!!!

嫌だ。絶対に嫌だ。

 

 

みんな、いままで俺の夢物語に散々付き合ってくれたんだ。世界で見たことを伝えて恩返しするんだろうが!フォークが曲がったくらいでおめおめと帰れっか!

お前は何の為に4年間も自転車店で働いてきたんだ!

直すんだよ。今ココで!

 

みんなの顔が浮かんだ瞬間、一気に気持ちが吹き飛んだ。

 

直す。絶対。

 

そう思ってから、不思議と先ほどまでのショックが消え、頭の中がクリアになり前だけを見据えた。

 

状況整理
体、フレーム、車輪問題なし。
フォークは綺麗に後ろへ反れていて、変なよじれなし。フレームとタイヤ約1cm干渉。

つまり、フォークを曲げなおせば、自走可能。

その場で、自転車をバラしフロントフォークを抜く。

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そこからは自転車店の腕の見せ所だ。

とにかく踏む。体重をかける。てこの原理でグッとする。まるで自転車の知識関係なし。単純な力仕事。

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でもさすがフォーク。ちょっとやそっとじゃ動かない。そりゃそうだ。ちょっとで動いてしまったら困る。

それは本当に心臓マッサージのようにリズミカルに、強い気持ちを込めて

動け動け動け動け~!!!!頼む動いてくれ!

どれくらいの時間そうしていただろう。覚えていない。とにかく必死だった。

ただあるタイミングで

 

 

ドクン

 

 

確かに感じた。それはほんのわずかだが、鉄のフォークから確かに鼓動を感じた。
あわてて車輪をはめ確認。まだ当たる。でも確実にましになった。よっしっ

時間をかけながらゆっくりと戻していく。

ついに

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ギリギリだ。でも確実に息を吹き返した。

だが、あまり曲げすぎると、折れる危険もある。これくらいがベストだ。

恐る恐る乗ってみる。

 

いける。そう確信した。僕のフォークは元々ツーリング用の直進安定性に優れた造りになっていたので、曲がった後でもちょっとクイックになったくらいで、問題なく走れた。

 

さらに通常台座であるフォークが曲がると、ブレーキを直すのが困難だが、僕の使っているカンチブレーキは、そこんとこ融通が利くので、ブレーキも問題なく使用可能だ。

荷物をつけて走り出す。タイヤが近いので急ハンドルすると足に当たるが、そこまで曲げる事はそうはない。気をつければ大丈夫だろう。

曲がったフォークは自転車を作ってもらったところに頼むとして、当面はこれで走れそうだ。

曲がっちまったもんはしょうがない。
メキシコ入りを前に、はくが出たってもんだろう。

そう強がりだ。
でも僕は旅を続けられるという事が、嬉しくてたまらなかった。

ちなみに、こいつが綺麗に車輪にはさまりロックした。

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みんなへ

諦めかけたとき、頭をよぎったのは安西先生
「諦めたらそこで試合終了」ではなく、みんなの顔でした。

グランドキャニオンの時みたく、みんなの顔を思い出して諦めたこともあるけど、
今回は完全に背中を押してもらいました。

たぶんひとりだったら、本当に帰っていたと思う。
いつもいつもすっごいパワーを貰ってます。どうもありがとう。

大感謝。帰ったらうまい酒飲もう

 

 

 

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