先日教えてもらった町にはお昼過ぎに到着した。
思っていたより大きい町だ。
さて、どうすんべぇ・・・
話によると中心地の近くという事だったのでそれっぽい所に向かったが、当然わからない。公園でたむろしているメキシコ人に聞いてみると、詳しくはわからないけど、書いてある通りはすぐそこだよ。通しえてくれた。
行ってみると、なるほど確かにこの通りだ。
で、こっから・・・
悩んでると、ベストなタイミングで自転車に乗ったお巡りさんが通った
「あ~。ちょっと待って!!この住所に行きたいんですが」
お巡りさんは確認すると、「近くだね。先導してあげるから着いて来なさい」
ラッキー! どうもありがとう。
そんなこんなで、無事到着。
で、こっから・・・
と再び悩んでると、扉が丁度開いて人が出てきた。
お互いすぐにお互いの事がわかったようで、
「こんにちわ。僕はガクといいます。オガタさんですか?」英語
「そうですよ。よく来ましたね。さあどうぞ」スペイン語
オガタさんはもう日本語を喋れない。英語も片言なので、意思の疎通はスペイン語になる。
初めて会った時は、その顔に日本人の面影を見つけるのは難しかったが、話したり色々していくうちに、やはり日本人的な柔らかさを持つ表情に出会った。
通り門をくぐって、30mほど歩いた所に大きい家が建っていた。
中も物凄く立派。その中に招いてもらって、洗濯、シャワーなどをお借りした。
でビールもたらふくご馳走になった。メキシコはテキーラが有名だが、飲まれるのはもっぱらビールらしい。
家の中も、日本的な物は全くない。
聞くと、オガタさんのお祖父さんがメキシコに渡ったというから、今は3世という事になる。当然もう暮らしも顔もメキシコと言うわけだ。
ところが、オガタさんは自分が日本人である事に誇りを持っているのだという。
日本人である誇りか・・・。そんな事考えた事もなかったな。
さらに、奥からなにやら取り出し僕に見せてくれた。
ずいぶん古い紙のようだけど。
・・・日本語だ!!
それは、オガタさんのおじいさんの家族の戸籍簿と、日本から来た手紙だった。
日付は明治9年。
持たせて貰った。慎重に慎重に。物凄く貴重な物だ。
衝撃だった。
・・・重い。
今も破れそうなペラペラの和紙だ。重いはずはない。だけど・・・
書いてある内容は昔の表現だったので、ほぼ理解する事は出来なかった、
だけど何故か涙が出そうになった。
今でこそ、立派なお屋敷を持つ暮らしをされているけど、きっと当時は想像を絶する苦労だったに違いない。
それが約130年の時間をを飛び越えて、当時のさまざまな感情が、確かにその和紙から伝わってきた。
オガタさんも、もちろんこの和紙に書いてある事は理解できていないだろう。ただ、僕以上に感じる事が出来ているのだろう。その和紙を、本当に大切そうにしまうオガタさんを見てそう感じた。
なるほど。日本人であることの誇りか・・・
島国育ちの僕らでは、なかなか感じにくい事だと思うけど物凄く大切にしなければいけないことなんだと思う。
物凄く貴重な体験をさせてもらった。