628日目 僕はこの日確かに風になった
野宿地を出発する時はゴーゴーと轟音とどろかす強風だったのに、走り出すとその轟音がピタリと止んだ。
辺りは草が物凄い勢いでたなびいている。だけど、僕の周りだけ風を感じず無音で穏やかな空間を作り上げていた。
強風の日にピッタリ追い風に乗るとこんな風になる。
そう。僕はこの日確かに風になった。
そもそも、南下か?北上か?で迷った際に、ポイントとしてパタゴニアの暴風があった。
これは常に西から吹いてくる偏西風がもたらす暴風
サンティアゴから最南端のウシュアイアまでの進路は南南東。一方北上になると逆に北北西の進路になる。
当然南南東へ向かうったってほとんど、横風だ。だけど、ちょっとでも東に向かうと果然楽に走ることが出来る。
今日はそんな日。ジャストの追い風の日だった。
もう笑っちゃうぐらいグングン進む。なんにもしなくても30キロくらい出たし、軽くこげば40キロくらいは軽く出た。
12時半の昼飯時には123キロ進んでいた。驚異的な記録。
ビバ偏西風。
このまま進めば200キロの大台も夢じゃない。
昼飯後も快適に進み、145キロ地点分かれ道が来た。
左に折れるのが僕の行こうとしているルータ40。一方左はそのまま大西洋まで東の進路を取るルート。
もし左に行って漕ぎ続けたらもしかして300キロ行けるかも・・・
とも一瞬思ったけど、さすがに却下。左に折れた
この左に折れるというのは西に向かうという事だった。
めっちゃ向い風。スピードも一桁台に落ちる。この落差って・・・
さっきまで快適だったぶん辛すぎる。
わかる?こんな快適そうな日なのに
もんの凄い向い風吹いてんだよ?あぁ写真に写らないのが残念すぎる
もうヘロヘロ。途中からちょっと南に折れたから向い風は弱くなったけど、強烈な横風。
もう大分走ったらから、適当にテントを張っても良かったけど、
ここまで来たらなにがなんでも200キロ行っちゃる!!
と有りもしない根性出してしまったのが運のつき
6時過ぎには目標のリオマヨに着いた。ここが丁度200キロ地点だったので今日はこの町で宿でもいいや。って思っていたら、
案の定閑散とした寂しい町だった。
北部アルゼンチンのあの陽気な感じはどこ行ったの!?
というくらいパタゴニアの観光地じゃない町は、閑散として寂しい町が多い。仕方ないこんな暴風吹き荒れて、気温も5度くらいしかないから陽気にしろって方が無理がある。
当然宿も探す気力もなく、ちょっとした買出しをしただけでそそくさと町を出る
が、この町を出た時点でルータ40はいよいよ未舗装路へと変わる。
しかも谷に作られているこの村。いきなりオフの激坂が歓迎してくれた
もう疲れまくっていた。風を避ける場所を探すのも、ちょっと見えない所を探すのも諦めて、
翌朝、よくこんな所に張ったなって所にビバーク。
強風のなかテントを張り終えたのが7時半。朝出発したのも7時半・・・
ちょ・・・。ダメでしょ。これはさすがに・・・
ご飯を作る気力もなくさっき買った大量の菓子パンを晩御飯にした。
でも大台200キロ突破。202キロ。
でも、思った事は
もう2度と200キロなんて走らないってこと!!笑
あぁ。本当に疲れたぁ
628日目 Costa先 - Rio Mayo 野宿 202キロ
走行時間 10時間5分27秒
標高 635m