さっきからたぶん30回は暴風に押し倒されてる。
押して歩くしかない目も開けられない暴風
ずっと荒野の1本道。
振り返ると一時間前に確かあの辺に居たような・・・
みたいな絶望的な感覚。1時間に5キロくらいしか進んでない
例えば、スカイダイビングをする為にセスナに乗って高度1万メートルまで上がり、ハッチを開いた時
外と中の気圧差で物凄い突風が吹きつける。
そんな風が実際吹く
そんな体験したことねぇよと聞こえてきそうだけど、想像だけで充分だ。だって台風より酷い暴風を僕は体験した事ないから
道は広い。だけど実際自転車が走れるのは砂利が履けている1mくらいの幅のみ。両サイドには捌けられた玉砂利がこんもりとなっていて、ここに突っ込んで転倒する。
夕方、いままで受けたこともない強さだと思っていた暴風が更に強さを増す。
風除けを探そうにも、ずーーーーーーーーと荒野だ。
朝から暴風に煽られまくって、疲労も限界だ。
僕は風をこれほどまで怖いと思った事はない。
本当にノイローゼになるかと思った。
だって次の町まで、つまりアスファルトまで後200キロもあるのだ。1時間5キロしか進まないのに!!
心が折れるかと思った
転倒を繰り返す僕をドライバーも見るから、みんな乗ってけよ。と声を掛けてくれる。
でも、残念な事にまだ食料も水も充分すぎる程もってたので、丁重にお断り。
対面から来る車のドライバーは僕の顔を覗き込み、親指を立てるジェスチャーをする
グットラック。といってるのではない。大丈夫か?という確認のジェスチャー
ヘロヘロになりながらも、僕も親指を立てて軽くこぶしを振る。
観光バスに乗ってる外人から拍手喝さいをうける。
ここパタゴニアでは自転車は旅人としてではなく、冒険家の扱いを受ける
なにもないからこんなちょっとでも風が避けられる所にテントを張る。
当然風が強すぎてテントを張るのもめっちゃ苦戦する。一瞬マジでテントが持っていかれそうになって、本当に焦った。
ここでテントがなくなったら、死ぬなんて本当に容易い
翌朝ももうダッシュ。四六時中風の強いパタゴニアだけど、午後に比べて午前中は台風くらいの強風に和らぐ。
チャンスとばかりに、午前中に飛ばしまくる。
昨日5~6キロでしか走れなかった道を倍の速度で走れるからだ。そんなわけで午前中は休憩もそこそこに走りまり、午後は心が折れる前に早めにテントを張り、8時過ぎには寝てた。
今日の野宿地はいいとこあった
こんな所があると心底ホッとする
こんな感じで完全に薄暗い状態でライトをつけてスタート。
この日は奇跡的に風がめちゃめちゃ弱かった。
今まで狂ったように吹き荒れていた暴風が今日は本当に弱かった。
これは本当に奇跡だった。漕ぎまくった。
風がないのがこんなに嬉しい事だったなんて。
夕方はさすがに暴風が復活したので、この日も早めにテント
この日も薄暗いうちから走行開始
後ちょっと~~~~~~!!!!
念願のトレスラゴスに入った。
水をキャンプ場でもらおうとお願いしたら、トイレを使ってもいいよって
トイレあったけ~~~~。
めっちゃ暖房効いてるし
ここで休憩させてもらう。
トイレで休憩してパンをかじるなんて、信じられませんか?
この環境ならもしトイレで寝てもいいよって言われたら、僕は喜んで寝るだろう。
それくらいと比べて天国みたいな空間に感じられた
そして小さいながらも、最低限の物はそろう商店もあった
まずはコーラ!!
そしてお菓子と、トマト。実は食料はあったけど、お菓子が底を突いていた。
自転車旅においてこれは結構キツイこと。
ここで狂ったように当分補給。さっきパンをかじったから正直お腹は減っていない。だけど、体はおもいっきし欲してた。
物価の高いパタゴニア。特にこういう田舎町だと更に高くなる。
ちなみにさっきのだけで、42ペソ(1000円以上)した。
たぶんアルゼンチン国内でもスーパーなら半額以下で買えると思う。
でも僕はちっとも高いとは思わなかった。
命を繋いでくれる食料に、1万円でも払えそうだった。
そしてとうとう
ア・ス・ファ・ル・ト
きた~~~~~~~~!!!!!!
本当に飛び上がりたい嬉しさだった。
生還できた。無事に生還できたよ~~~~~。
カラファテまではまだ160キロある。しかもほぼ向い風だ。だけど、カラファテまではずっと舗装路。このことが嬉しくてならなかった。
634日目 29号線分岐から15キロ先 102キロ 標高615m
635日目 40号線合流から7キロ先 59キロ 標高515m
636日目 Tres Lagos 30キロ手前 88キロ 標高490m
637日目 23号線との分岐の先 66キロ 標高410m