カフカスの山岳民族の間で『血の報復』という慣習が存在した。
いや、存在すると言った方がいいだろう。これは身内の内の誰かが侮辱されたり危害を加えられた場合、被害者の家族は一族を挙げてその加害者に報復する義務を負うというもの。
多くは土地や家畜を代償に引き渡すことで解決されてきたが、時には村同士の全面戦争に発展することもあった。
塔状の家はそうした外敵が攻めてきた際、家畜などと一緒に長期間立てこもれるような作りになっている。
旅行人より抜粋。
塔の村メスティアまでの道はとにかく最高だった。
どんどん近づく雪山に、穏やかな牧草地。かつて上記のような慣習が残り、更につい最近まで地元の人も恐れる山賊や強盗の多発地帯だったとはとても思えん。
そして素晴らしい事にズグジジ~メスティア間は完全舗装路。
舗装路になると素朴さは失われるけど、景色を観ながら悠々と走れるのはやはり素晴らしい。
前日までの悪天候を帳消しにしてくれる快晴!!
出た~~
塔の村。塔状の家々。
本当に可愛らしくそんな慣習があったなんて今では全く感じさせないけど。
塔の村として有名なのがメスティアとウシュグリ。だけど、そこに至る道と村も本当に素晴らしかった。
やがてメスティアの標識が現れて、いよいよメインの村だと意気揚々と自転車で滑り込んだ。
・・・・。
あれ?
それまで素朴に優しく微笑んでくれた人々から笑顔が消え、メインストリートには新しいホテルやらレストランが建っている。
ここが、メスティア?山奥の町?
残念なことに超モダンな警察署。
新しくしたはいいが店が入っていない中心地。
ツーリストインフォメーションのねぇちゃんに宿(民泊)の場所を聞くと、ビックリするくらい冷たく
「100m先を左に。後は人に聞いて」とだけ答えて、あとはスマホに夢中だった
案の定迷いに迷って、やっとこさナジの家を見つけ出した。
外観は少々くたびれて見えるものの、中は魔法が掛かったような暖かな空間になっておりビックリした。
ここコーカサスと呼ばれる旧ソ連圏の国々は、ホテル不足を補うために家の一室を旅人に貸しているいわゆる民泊がある。
大体朝食と夕食付で1人20~30ラリ(1100円~1600円)
民泊の場合は一人頭の計算になるので2人旅のメリットがあまりないし、60ラリのホテルならもっと綺麗で快適な所も沢山ある。
だけど、グルジアの家庭料理やら自家製ワインやら、チャチャと言うグルジアの地酒をこれでもかと振る舞ってもらえる民泊は素晴らしいと思う。